「がんを明るく前向きに語る・金つなぎの会」(以後、金つなぎの会)は、JR大阪駅コンコースで出会った24人の病友が、肩を寄せ合うようにして立ち上げた小さな患者会である。 したがって会創設当初は、「自分たちの出来ることから始めましょう」と申し合わせ、”自助努力のがん患者会”を目標にスタートしたのだったが、すぐに”自助努力・身の丈サイズのがん(ほか難病・大病)患者会”に、看板をかけ替えた。当時連載中の私の新聞コラム(産経新聞朝刊「がん闘病3年記”金つなぎの茶碗”」)の読者やマスコミ各社の報道結果に対し、がん以外の難病・大病患者の方々が縋るように深刻な相談をかけてこられるようになったからである。難病の種類は、主に膠原病が多く、レイノー病、シェーグレン症候群、ベーチェット病、リウマチ性多発筋痛炎、サルコイドーシスなど、初めて名前を聞くような次第であった。
がん患者が近代医療から手を離され、つまり、手術や抗がん治療、放射線治療などを受け終え、「後は半年に1回、1年に1回、検査をして様子を見ていきましょう」と医師から言われたその日から、私たちは死ぬまで再発・転移の不安と恐れに苛まれつつ生きていくことになる。
がん(ほか難病・大病)患者の多くは、たとえばどんなに強い人でも、心の奥深くに自分以外は誰も入れない、暗く深い闇の部屋を抱えて生きてる。 健常な日々には思いもしなかった単なる頭痛が、「もしや、脳に転移?」と心配のタネになり、老化による膝や腰の痛みにも骨転移を疑うせつない私たちの心根を、13年前に”余命半年”のがん患者であった私は、決して笑えない。 一見、とても元気そうな自分の体に、いつ、何が起きても不思議ではない危うさを抱えているから…
そんな病友たちが縋るもの、それは、患者会という名の"絆"である。患者会の活動を通して支い、励ましあう関係づくりを学び、そのなかでいつしか育つ、確かな生きる力。その力に縋り縋られ生き延びよう!と決めた平成7年4月24日は、私たちにとって、記念すべき日となった。
Author:さくら・さくら
☆乳がん、卵巣がんを相次いで病み、余命半年の病状から生還した多重がん患者
☆がんを明るく前向きに語る金つなぎの会 代表